2012/04/26

Festival Bo:mについて

4月18日にFestival Bo:mが閉幕しました。
今年のフェスティバルには日本からもたくさんの方がいらっしゃっていました。
東京に行くより近いとおっしゃっていた関係者の方もいましたが、
航空券代も安いし、確かにそうですよね。

閉幕したら今年の演目について少しまとめられたらなぁと思っていたのですが、
それ以前にFestival Bo:mについて何の説明もしていなかったことに今更気づき(汗)
ちょっとFestival Bo:mについて解説できればと。
いまさらですが・・・。
来年に向けて、ということで。


Festival Bo:m(フェスティバル・ボム)の前身は2007年のSpring Waveというフェスティバルです。


この時から「国際ダウォン(多元)芸術祭」と名乗っており、いわゆる「国際演劇祭」ではないところがポイントだと思います。
ダウォン芸術というのはまた機を改めて解説できればと思いますが、韓国国内で存在するアートのカテゴリーの一種です。
ダンス、演劇、美術、音楽、映画、パフォーマンスなど、あらゆるジャンルを横断するような、逆に言うと、はっきりとこのカテゴリーですとは明言しがたいような作品・作家をこのダウォン芸術というカテゴリーで呼んでいます。このようなカテゴリーが生まれてきた背景には、韓国の舞台芸術界では、従来の「演劇」「舞踊」の概念に当てはまらないような作品がなかなか支援・助成を得づらかったという実情があり、第3のジャンルを作ってそれらとは別のカテゴリーにする必要があったようです。

2007年のSpring Wave時代は、実はディレクターが2人いました。
一人は、現在もボムのプログラミング・ディレクターをしているキム・ソンヒ氏。彼女はSpring Waveのディレクターに就任する前はModafe(国際現代舞踊祭)の芸術監督でした。
もう一人は美術のキュレーター・評論家であったキム・ソンウォン氏。
つまり、Spring Waveは舞台芸術と美術からひとりづつディレクターを立てた、かなり画期的なフェスティバルだったのです。
この年に参加しているアーティストは、ジェローム・ベル、ロメオ・カステルッチ、ウィリアム・フォーサイスなどがいました。

しかし翌2008年からフェスティバルの名称はFestival Bo:mに変わり、ディレクターはキム・ソンヒ氏一人になります。
やはり大きな決断が必要となるディレクターが2名いるというのは、実務的に難しい部分もあったんじゃないかなぁと思います。
しかし、コンテンポラリーな作品に対する理解がまだ得づらかった韓国の舞台芸術界に実験的な作品を送り込んで、韓国の若者たちを勇気づけ、そこから次代を担うような作家を輩出したいという彼女の思いは2012年の今回まで色濃く反映されていると思います。

ちなみにこのフェスティバル、自治体や劇場が主催するフェスティバルではなく、民間のフェスティバルです。
韓国のアーツカウンシルや Seoul Foundation for Arts and Cultureの助成、企業からの寄付などで運営されています。

このような実験的な国際フェスティバルが民間で運営されているというのが驚きでもあり、まただからこそ強い意志がなければこんな大きなことはできないよな~、と思います。

そのうち、今回のフェスティバルの作品についても記事アップしたいと思います。